F1 2020年シーズンレッドブルホンダバルセロナテストの回顧と今後の展望。

2020年3月22日

開幕戦オーストラリアGPまで1週間を切ってきました。

今回はスペインバルセロナで行われたプレシーズンテストを元に、レッドブルホンダの戦力を分析してみました。

全ての面でレベルUPしたホンダPU「RA620H」

ホンダの田辺さんは元来控えめな人なので、そのコメントからはPUの良し悪しはあまりわかりません。

そこで登場するのがヘルムート・マルコ総帥です。

マルコ総帥は「パワー、燃費、信頼性の全てでホンダPUは大幅に進歩した。」と豪語しています。

実際そうなのでしょう。

RA620Hは昨年の反省点とホンダジェットの技術を全て盛り込んだ完成版と考えていいでしょう。

特に冷却面で進化した事が伺えます。

昨年のRB15はPUの冷却に配慮し、エアダクトを大きめに作っていました。

高地や高温で行われたサーキットでは強かったのですが、それ以外のサーキットではドラッグ(空気抵抗)が大きく、メルセデスに遅れを取ることが多かったです。

今シーズンは、ホンダPUの冷却性能もアップしたため空力的にも攻めた車体となっています。

戦闘機でもそうですが、小型の機体に大馬力のエンジンを搭載すれば無双します。

F8F ベアキャットがいい例ですね。

昨年より進化したRB16

まず目が行くのはノーズが細くなった事です。

ノーズが細くなると強度が弱くなり、クラッシュテストに合格できない可能性があります。

ドライバーにとっても危険です。

その強度不足を補うため、レッドブルはノーズに炭素繊維強化プラスチックを使っていると推測しています。

ホンダジェットは機体に軽量で丈夫な炭素繊維強化プラスチックを使っています。

ノーズに炭素繊維強化プラスチックを使用するアイデアはホンダジェットから得たものでしょう。

ノーズを細くした影響でドラッグ(空気抵抗)が減り、より多くの空気を車体の底面に送ることができます。

車体底面の空気の流れが速くなれば負圧が生じ、ダウンフォースは増します。

フロントウイングの面積も変わらないので、フロントのダウンフォースは維持されています。

ウイングの面積が広いほど、旋回性は増します。

ただしスピードが増した時、風に流されやすくなり挙動が安定しません。

昨年の前半は最高速度重視で翼面荷重を高くしたため、コーナーにおけるダウンフォース不足に悩まされました。

また車体にはホンダジェットの自然層流(NLF)技術がふんだんに盛り込まれているようです。

車体の至る所に板状の構造物が設置されています。

NLF(自然層流)技術は、HondaJetの機体ノーズ部分と主翼部分に採用されています。

実際にHondaJetの主翼付け根部分とRB16のバージボード下面部分は酷似しています。

層流翼

ホンダジェットの空力技術はレッドブルの車体にかなり採用されているようです。

メルセデスF1の新ステアリングシステム「DAS」は有効なのか?

メルセデスがバルセロナテストにおいて「DAS」という隠し球を出して来ました。

DASとはステアリングを前後に押したり引いたりすることによって、トー角を調整するシステムです。

タイヤが進行方向に対して、まっすぐ向いていればトー角は0です。

普通の乗用車のトー角は0です。

レースカーではサーキットによってトー角を調整します。

一般的にトーイン(内股)だと直進安定性が良くなり、トーアウト(ガニ股)だと曲がりやすくなります。

今回のメルセデスの狙いは、直進安定性を良くすることです。

昨年のメルセデスはコーナーで速くても、直線では乱流の影響を受けトップスピードが伸びませんでした。

FIAには確認をとって導入したシステムですが、フェラーリやレッドブルはDASの合法性を疑問視しています。

特に政治力のあるフェラーリが反対した場合、このシステムが搭載されるかは疑問です。

実際乗用車にフィードバックできるような技術ではないため、違法とされる可能性が高いと予想しています。

F1モータースポーツ部門のマネージングディレクターを務めるロス・ブラウンも、レギュレーションの抜け穴を利用するようなシステムには反対の姿勢を取っています。

また2021年以降のテクニカルレギュレーションにおいてDASは使用できないと明言されています。

今シーズンはDASの合法性や有効性も大きな話題の1つです。

ただしテスト終盤になってDASの話題は下火になりました。

あまりタイムに反映しなかったからです。

開幕戦でどういう効果が出るか注目したいですね。

レッドブル・ホンダの可能性

テスト最終日フェルスタッペンは1分16秒269というタイムをC4タイヤで出しています。

このタイムはトップのボッタスと0.073秒差の2位でした。

トップのボッタスのタイムは、1分16秒196でC4より柔らかいC5タイヤを使って出したものです。

実質的にはフェルスタッペンの方が0.5秒程度速いことになります。

1週で0.5秒速いと10週で5秒、レース全体でみると40秒前後の差をつけられます。

これにはメルセデスの首脳陣も頭を抱えたと思います。

開幕までの2週間でどの程度メルセデスが改善してくるか注目です。

まとめ

レッドブルのメリットはホンダジェットのリソースをこれでもかという程、利用できる点です。

これはメルセデスにもフェラーリにもない強みです。

航空工学の精度は自動車の比ではありません。

自動車は運転中に故障してもJAFを呼べば済みますが、航空機はそうはいきません。

航空機には自動車の何十倍もの工作精度が必要とされるのです。

RA620Hが開幕戦からどれくらいのパワーと信頼性を発揮してくれるか注目です。

最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。